政府債務 2010 8 22
書名 経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門
著者 三橋 貴明 アスコムBOOKS
著者は、政府債務について、わかりやすく分類しています。
(以下、引用)
政府の債務については、以下の4つしかない。
一 国内からの自国通貨建ての借入
二 海外からの自国通貨建ての借入
三 海外からの外貨建てによる借入
四 共通通貨建てでの借入
(以上、引用)
リスクが最も低いのが一のケースで、
リスクが最も高いのが三のケースとなります。
四については、最近登場した新しいケースです。
一のケースは、日本が該当します。
二のケースは、アメリカです。
三のケースは、具体的な国名は差し控えます。
四のケースは、ユーロ圏の国です。
破綻するとしたら、三、二、一の順番となります。
ただし、一と二のケースでは、破綻しにくいと思います。
一と二のケースの債務は、結局、自国通貨建ての借金ですから、
いざとなれば、中央銀行が買えば済む話です。
とりわけ、日本は「巨額のデフレ」がありますので、
これをインフレにするのは、困難でしょう。
インフレどころか、プラスマイナスゼロに持っていくのも大変でしょう。
アメリカもデフレに突入するかもしれません。
仮に大幅な通貨安となったら、
日本は、中国に代わって、「世界の工場」となるかもしれません。
日本の巨大輸出企業の株価は、高騰するでしょう。
さて、三の「海外からの外貨建ての借入」が、ハイリスクであることは、
誰でもわかることなので、省略します。
問題は、四の「共通通貨建てでの借入」です。
これは、最近、登場した新しい借金の方法です。
結論から言ってしまえば、いつまでドイツ経済が持つかにかかっていると思います。
つまり、ドイツは、いつまでユーロ圏の国々を支えられるかということです。
ところで、「金融ビジネス2010年夏号」では、
「欧州メルトダウン」が特集となっています。
「ルビコンを渡ったドイツ ユーロ圏の崩壊連鎖を防げるか」となっています。
大変だビジネス 2010 6 27
今日は、「週刊ダイヤモンド 2010 6 12号」から、
興味深い記事を取り上げましょう。
「山崎 元のマネー経済の歩き方」から、
「『危機』を商売にする人たち」です。
山崎氏は、こう指摘します。
「ギリシャの財政問題に始まった今回の経済的混乱は、
資本市場に大きな影響を与えた。
(中略)
こうした『危機』を感じさせるイベントが、
(金融市場で)起こったときに、
妙に活性化する一群のビジネスがある」
こうした新手の商売とは何でしょうか。
ひとつは、財務省の増税ビジネスでしょう。
こちらは、何しろ、「公務」だから仕方ありませんが、
山崎氏は、こう指摘しています。
「なんとしても『増税』を行いたい官僚たちの意を受けて、
『日本の財政はギリシャ並みか、それ以上に悪い』と、
あおる宣伝が盛んだ」
このような誇大広告は、本来ならば、不適切な広告と言えますが、
何しろ、「公務」ですから、いかんともしがたいものがあります。
また、山崎氏は、このような「大変だビジネス」は、
他にもあると指摘します。
「財政危機をあおって目的を達したい主体は、
財務省以外にもある。
たとえば、プライベート・バンカーたちだ。
彼らは、日本の個人の資産を、預金や国債から引きはがして、
海外での手数料の高い資産運用に持ち込みたい。
つい数年前まで、大銀行が倒産するとか、
個人の預金が封鎖されて相当額が切り捨てられるとか、
日本が財政破綻してパイパー・インフレーションに見舞われるといった、
『怖いストーリー』を語って、
高い手数料のサービスに資金を誘導してきた。
しかし、彼ら(プライベート・バンカーたち)が大好きで、
日本円から多額の資産を誘導してきたユーロと欧州経済が、
ぼろぼろになったことは、お気の毒だった。
いずれにせよ、顧客の危機感につけ込んで、
恐怖と一緒に売る商品に、ろくなものはない」
ところで、「週刊ダイヤモンド 2010 6 12号」の特集は、
「宇宙ビジネスの旅」というものです。
日本は、こうした「宇宙ビジネス」に出遅れていると感じます。
民主党政権は、理系政権と賞賛されましたが、
なぜか肝心の科学技術分野が弱いのです。
最近は、夢を語る政治家が少なくなりました。
暗い話ばかりをする「根暗な政治家」が増えました。